大江英樹

人間は経験でしか学ぶことができない生き物です。それまで何の運用経験もないのに、いきなり大金を投じるのは危険だということは、冷静に考えれば分かるはずです。泳いだことのない人がいきなりボートから海に飛び込むようなもので、一時は波に乗ってうまく泳げるかのように見えても、いずれおぼれてしまう可能性が極めて高いのです。 無謀な「退職金投資」を防ぐには、若いころから無理のない額で積立投資などを始め、失敗も経ながらノウハウを身に付けていくのがベストです。こうした経験をまったく積んでこなかった人は、少なくとも一度に退職金の多くを投資に充てるのはやめるべきです。 定年退職後も長い人生が続きますから、預貯金だけに頼らず株式や投信を一定割合持っておくことも必要です。それでも残念な退職金投資家にならないためには、少しずつ勉強しながら投資経験を積んでいくことが欠かせません。